設立趣意書
日本ボランティア学会設立趣意書
私たちは今、これまで日本を支えてきた社会システムと価値システムが崩壊する混迷の時代を生きています。とりわけ社会システム「制度疲労」をきたし、政治、経済、文化、生活のあらゆる分野で機能不全の状態に陥っています。
このような時代状況にあって、私たちは、人間社会の基底をなすサブシステンス(自律的生存)領域の活動をいかに協働して回復し、再構築するか、という問いに導かれて混迷を抜け出す新しい回路を発見していきたいと考えています。
日本は官主導の社会が終焉を迎え、普通の人々も公益の担い手であるという新しい公共性の考え方が根を張ろうとしています。そのなかで、私たちはボランティ アの役割について新しい評価をしていきたいと考えます。ボランティアこそ、人間の自律性と協働性を新たに構築する実践であり、その実践のなかに未来をひら く新しい回路があるにちがいないからです。
ボランティアといっても、対象が多様であり、価値観も多元的であるため、これまで活動の経験を体系づけ、蓄積した情報を共有するシステムがないに等しい状態でした。そのために日本ではボランティアの位置はともすれば低く見られがちでした。
ボランティアの能力を高めること、その社会的なイメージを高めることを目標として、自律と協働にもとづく経験を知の体系に織り成し、その知の力を実践にもどすために、日本ボランティア学会を設立することにしました。
この学会は、大きな理念をかかげて、人々を指導していくものではなく、普通の人々の声に耳を傾け、社会の小さな問題を見逃さない、そして社会的に弱いもの のために発言し、多数派の考え方にたいして、もうひとつの異なった視点を示していく、そのような学会にしてゆきたいと考えています。
一人ひとりの人間が批判的かつ創造的にものを見る能力を身につけ、世界の現実は必然的なものでなく、人間の力で動かしていけるものであることを知る。ここから未来の希望が生まれてくると思います。
1998年12月19日 設立発起人一同
設立発起人(肩書きは設立当初のもの)
- 磯貝靖洋 (オペラ・ワークショップ主宰)
- 宇井 純 (沖縄大学教授)
- 岡本栄一 (西南女学院大学教授/大阪ボランティア協会理事長)
- 小野田全宏 (静岡県ボランティア協会常務理事兼事務局長)
- 栗原 彬 (立教大学教授)
- 鎌田 実 (日本チェルノブイリ連帯基金理事長/諏訪中央病院院長)
- 小松光一 (お茶の水女子大学講師)
- 川原一之 (アジア砒素ネットワーク事務局長)
- 榊定 信 (熊本工業高校教諭)
- 桜井陽子 (横浜市女性協会事業ディレクター)
- 澤畑 勉 (世田谷区立烏山児童館指導員)
- 鈴木光尚 (足利市女性プラン推進会議議長)
- 園田恭一 (東洋大学教授)
- 高野公男 (東北芸術工科大学教授)
- 谷口明広 (自立生活問題研究所)
- 辻本好子 (ささえあい医療人権センターCOML代表)
- 土屋真美子 (まちづくり情報センターかながわスタッフ)
- 永井順國 (女子美術大学教授/前讀賣新聞社論説委員)
- 中村陽一 (都留文科大学助教授)
- 中本啓子 (東和大学国際教育研究所助教授)
- 西村秀俊 (札幌・朝日カルチャーセンター社長/元朝日新聞社論説委員)
- 沼田曜一 (俳優)
- 萩原なつ子 (東横学園女子短期大学専任講師)
- 畑 祥雄 (写真家/ディレクター/成安造形大学助教授)
- 花田光世 (慶應義塾大学教授)
- 播磨靖夫 (財団法人たんぽぽの家理事長)
- 日高敏隆 (滋賀県立大学学長)
- 平野眞佐子 (全国老人給食協力会代表)
- 牟田悌三 (俳優/世田谷ボランティア協会理事長)
- 森 法房 (人間いきいき研究会世話人/山口県立大学助教授)
- 森 一貫 (帝塚山短期大学学長)
- モンテ カセム (立命館大学教授/市民フォーラム21・NPOセンター代表理事)
- 山崎美貴子 (明治学院大学教授/東京ボランティア・市民活動センター代表)
- 山下弘文 (日本湿地ネットワーク代表)
- 吉永 宏 (市民活動研究開発研究所代表)
- 米田伸次 (帝塚山学院大学国際理解研究所所長)