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怒り

(渡辺俊之/高崎健康福祉大学保健福祉学科教授)

怒りは、良くない感情と思われやすいが、人間の防衛本能の一つである。怒りの感情は誰もが持つ感情である。問題はその対処の仕方である。怒りが強く、それが行動や態度に表れる場合があるが、激しい怒りは人間関係を破壊し、要介護者の心も介護者の心も傷つけてしまう。

怒りが生じる第一の原因は、介護者の気持ちや要求が相手に伝わらないときである。「こんなに苦労して介護しているのに、少しも分かってもらえない」といった状況に出会った時に、要介護者や第三者からデリカシーのないことを言われると怒りが生じたりする。

第二は、介護ストレスからくる負担感や被害感の増大である。怒りは〈ストレスのサイン〉と理解したほうがよい。怒りが家族に言葉で伝達されるときはよいが、怒りを一人で抱えてしまうと深刻な問題になってくる。怒りが行動として要介護者に向くと高齢者虐待につながってしまう。

怒りが行動化して要介護者に向くことが、介護では一番深刻な問題である。怒りからくる暴力や暴言は、介護者ひとりに責任があるのではない。介護者を取り巻く家族や地域といった環境の関わりが大いに関係していると理解しておいたほうがよい。

【参考文献:『介護者と家族の心のケア─介護家族カウンセリングの理論と実践』金剛出版】

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